事業概要・目的

概要

日本の再生には、地域社会の課題解決に挑戦し、イノベーションを主導できる博士レベルの高度人材の育成が必要不可欠かつ急務です。その実現には、既存の大学の博士育成の枠組みを超え、産学官協働によって教育プログラムの企画・運営を実施する新しい枠組みの下で広く社会のさまざまな分野で活躍できる博士の育成に挑戦しなければなりません。

地域の大学は、その地域独自の特色ある教育研究機能を有しています。それぞれの地域の強みを全国的規模で連携・融合させることができれば、1地域だけではなし得ないシナジー効果が新たな価値を生み、多くの地域の活性化を促します。

そこで、「全国の国公私立大学が結集し、ステークホルダーである地方自治体や産業界とイコールパートナーの協働によってイノベーション人材育成を行い、同時に、異なる地域の大学、企業間の広域連携を推進して地域を活性化し、地方大学の知的基盤の確立に結びつけること」を基本戦略とする事業を推し進めます。

目的

本取組みの使命は、参加大学が連携してイノベーション社会において地域に貢献する知的基盤としての役割を確立し、イノベーション博士人材の育成を行うことです。本取組みは、すでに開始しているスーパー連携大学院によるイノベーション博士育成プログラムの基盤の上に、新たに地域社会の課題解決を主導できる博士レベルの高度人材の育成を目指します。従来の大学院教育の枠組みを超え、大学間連携に加えて産官も参画する産学官協働大学院というべき新たな仕組みの実現に挑戦するため、次の2点を目的とします。

  1. 地域課題解決とそれを担う人材育成システムをセットにした新たな広域産学官連携による仕組みを構築する。
  2. 国公私立大学のみならず産業界等が連携・協働して、高度人材(イノベーション博士)育成を実施するこれまでにない新しい共同教育研究組織を設立し、本格的な産学官協働大学院教育システムに発展、普及させる。

課題

目的を達成するため、以下のような課題を設定して取り組みます。

  1. 各地域に産学官連携クラスタの中核となる地域コアを組織する。
  2. 地域コアは、地域の課題を抽出して共同研究プロジェクトを企画する。同時に、プロジェクトに参加する地域の産官から社会人学生をイノベーション博士プログラムに受け入れる。
  3. 地域コアは、単なる地域の産学官連携の組織化に留まらず、各地域の地域コアが全国レベルで広域ネットワーク化し、それを活用する新たな問題解決手法と人材育成手法を開発する。
  4. わが国では初となるIndustrial Ph.D の実践等も組み合せ、地域コアの広域連携という新たな仕組みによる地域活性型イノベーション博士育成のブレークスルーを目指す。
  1. 目的1で取組む新たな人材育成機能と地域活性化機能を、全国の国公私立大学とステークホルダーである全国の企業・公的機関とが共同出資(共同提案)して設立する教育研究組織を設立して、協働大学院を運営する。
  2. 従来のような大学のみによる学位授与制度を変え、ステークホルダーである産官も含めた新たな学位授与制度への変革を促し、社会の要請に応え得る人材育成の質保証と向上に向けたブレークスルーを目指す。
  3. 先頃公表された「大学改革実行プラン」で例示された「国公私立大等の共同出資型教育研究組織」を基本に、さらにステークホルダーである企業・公的機関まで対象を拡大した我が国において最も進歩的な試みであるだけに、国の制度的な仕組みの整備を勘案しながら、ステップ・バイ・ステップでの取組みを検討する。

課題実施に向けて、ステークホルダーの産官と大学が、人材育成のさまざまな局面でイコールパートナーとなって計画・指導・評価する仕組みを構築し、社会の要請に応えうるオープンな仕組みを産学官の協働により実現し、産学官の協働により高度な教育の質保証と向上を実現します。

また、本連携取り組みでは、各大学の特色や強みを活かし、地域活性化を担うノン・アカデミア指向のイノベーション人材に特化して育成します。さらに、このイノベーション博士人材育成機能を国公私立大学、公的機関、企業が合同で設置する新しいオープンな教育研究組織を目指すことにより、新たな機能分化を打ち出します。

目標・成果

  1. 達成目標
    本連携取組は、ステークホルダーである企業・公的機関等と国公私立大学の共同出資型教育研究組織の設置により
    • 地域の産学官がイコールパートナーとなってイノベーション人材育成を行い、
    • 同時に、異なる地域の大学、企業間の広域連携の推進により地域を活性化し、
    • 地方大学の知的基盤の確立に結び付ける
    の3 点を組織的かつ大規模に推進し、支援期間終了後には協働大学院を発足することを目標とします。
  2. 成果
    本事業での個々の実施事項に対応した具体的な成果の最終目標は、
    • 地域を支えるイノベーション博士人材の輩出
      <約10 名/年のイノベーション博士人材育成>
    • 地域コアの全国ネットワーク化による地域の活性化
      <6 地域コアの設置、地域コア統合組織の設置>
      <約15 件/年の地域内共同研究、約15 件/年の地域間共同研究>
    • 継続して安定的なイノベーション博士育成が行える体制の構築
      <共同出資型教育研究組織の設置、協働大学院運営開始>
      <数百講義/年の協働大学院での講義提供>
      <約30 テーマ/年の協働大学院での学位研究支援>
    です。
    また、我が国全体への波及効果としては、
    • 新たなイノベーション博士人材の育成モデルの確立
    • 産学官共同出資型教育研究組織のモデル
    が他の新たな試みを誘発することが期待できます。
  3. 効率化・合理化される事業内容
    下記のように、参加大学の事業の効率化、合理化が期待されます。
    1. 個々の大学では困難な融合分野等の人材育成など社会が求める博士人材の育成
    2. 個々の大学では確保困難な教育資源の共有化による高度な教育研究の実現
    3. 共同・受託研究受入窓口の共同化
    4. 技術移転事業、インキュベーション施設などの共同運営
    5. サテライトキャンパス、エクステンションセンターの共同運営
    6. 社会人の学び直しのための事業の共同実施
    7. 地域的課題や産学官連携への広域連携体制の構築